執筆大好き桃花です。
本日は、過去に私が書いた恋愛の詩をお届けします。
同系統のものをアルファベットでまとめます。
すべて独立した作品ですが、順番にお読みいただくとストーリー形式になるようにしてあります。
ぽえむ【恋愛】A④『星空』
星空
一つ一つを結んでいったら 夜空すべてを覆ってしまった 浮かび上がったあなたの笑顔に 今夜もどうやら眠れなそう 鮮やかに瞬いて微笑みかけるたび きしんで滲む私の心 身に沁みるくらい冴え渡るから ぎゅっと自分の両肩抱いた 目を閉じるたびに映画のように はっきりあなたを映してしまう どうしてそんな消えないクセを 必死に叩き込んだのだろう 思い返すと一瞬だった あなたの笑顔が星空みたいに そこだけキレイに光って見えた 何の不思議も迷いもなく 深い夜空に吸い込まれていた 涙で瞳が濡れるから あなたの笑顔はますます輝く すうっと伸びたあなたの光が 私の心を貫いていく きっと今夜の夢の中にも あなたの姿が現れる 星の数だけあなたの笑顔が 私の胸でずっと煌めく どこまでも澄み渡っていて 所々でキラッと閃く そんなあなたが 私の星空
あとがき
喩えるという魔法
何かに喩えるということは、人間の産み出した素晴らしい魔法の一つだ。
だって、わざわざ別のものに置き換えて考えたり説明したりするなんて、人間ほどまどろっこしい動物しか考えないだろうからだ。
犬や猫は、「うちの家族は金太郎飴のようなメンツだワン!」とか、「うちのご主人様は野良猫みたいに気まぐれだニャー」とは思っていない、はず。やっぱり何かを別のものに喩えるという能力は、高い知能を持つ人間ならではのスキルなのだと思う。
比喩の魔力
比喩というと、一般的にはわかりやすくするための喩えとして用いられることがほとんどかとは思うが、私は詩や小説の中で用いる時には、わかりやすさの他に、そのイメージの持つ関連性というものを大事にしている。
たとえば「水」に喩えるなら、水が持つ特性をなるべく多く関連づけられるといいなと思っている。「透明」なことを表したいなら「ガラス」でもいいだろうし、「空気」だって伝わるかもしれない。でも「水」に喩えるからには、揺らぐことや、形を変えることや、いろんなものを受け入れることや、特定の物質と混じり合うことや、そんなありとあらゆる「水」に関する特性が一致するように絡めたい。
それぞれが持つ多くの特性をイメージで関連づけて比喩表現出来る時は楽しい。パズルのようになかなかカチッと当てはまらないこともあるからこそ、綺麗にはまると嬉しくて自己満に陥る(笑)。
というわけで星空
恋愛に限らず、過去の記憶を遡ってみると、ある一つの人や物や出来事に対し、印象深かった何かに関連づけて記憶していることが多い。たとえば初めての恋人との思い出のほとんどがドライブデートだったら、「車内に乗り込んだ時のにおい」とか、「流れてた音楽」とか、「勢いよく流れてゆく景色」とか。学生時代の思い出が「勉強」という人もいれば「部活」という人もいるし「友人」という人もいる。
私の恋愛Aぽえむシリーズの対象の人は、一言「星空」のイメージに尽きる。他にもいろんな喩えをしているけれど、思い出すイメージはいつも一緒。そしてそのイメージを思い出すと、あの頃の感情や映像が一気に蘇り、胸の中に切ない気持ちとか好きだったなって想いとかが姿を現す。もう過去のことだし、もうその人と会うことはないとわかってても、記憶ってまるで今目の前で起こってるかのように思い出させてくるから、不思議。時間の経過とともに、薄らいでいくものであっても。
そんなこんなで、比喩の魔力とイメージの破壊力について語ってみた。喩えを使うと一気に本物っぽい作品になるのでオススメ!
星を見て「おいしそう!」と思うことを金平糖症候群と言う!
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