[無料]自作長編小説 『戦乱虫想(せんらんむそう)』 第4章 蝉族

アイキャッチ(戦乱虫想4) 長編小説
筆者
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執筆大好き桃花です。

大昔に書いた自作小説の第4章です。

拙いですが、温かな目で見守っていただけると幸いです。

【注意事項】

著作権の都合上、無断での商用使用や販売などお控えください。リンク掲載や権利者明記の上での拡散等はお断り無しでOKです。個人で活動していますので、何か少しでも感じられた方は応援や拡散等していただけるととても励みになります。

本作は、2012年に新人賞に応募(落選)した自作長編小説を一部修正したものです。つたなく恥ずかしい限りですが、自分の成長過程としての遍歴を綴る、というブログの理念から勇気を出して公開します。

『戦乱虫想(せんらんむそう)』あらすじ

目を覚ますと、俺は虫達が闘いを繰り広げる戦乱の世にいたーーー。思った事を現実化させる不思議の術を持ちながらも、自分が何者なのかわからない。

現世に戻れる方法を模索しながら、自分の〝族〟を探す旅に出る物語。エンタメ系。

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第4章:蝉族

その1

 街中に散らばっていた武人達を集め、一日休んだ後、蟻族の街を後にした。

 十日ほど歩き、次の村に辿り着いたのは朝方だった。既に早起きの人の姿が見える。

 何族の村だろうか。村には葉をいっぱいにつけた広葉樹が立ち並び、真夏の太陽をさえぎる木陰を作り出している。村と外との境界もたくさんの小高い木が区切っていた。

 俺の術で幾分和らげてきたとは言え、砂漠を日照りの中長時間歩いてきたのだから、武人達が木陰に吸い寄せられるように早歩きをしていくのは仕方ない。

「根性なしめ! いかなる時でも冷静でなければ、弱みにつけ込まれるというのに」

 先を争って木陰で休む武人達に、胡蝶こちょうは苛立ちを隠しきれない様子でそう吐いた。

「胡蝶から冷静なんて言葉出されても説得力ないもんな」

「貴様今何と申したッ!?」

 暑さと術で体力を消耗しており、その場にしゃがみ込んでしまっていた俺は、拳を振り上げる胡蝶の動作を、手を振りかざして阻止する仕草で応じた。イチイチ本気でカッとされるのも疲れるものだ。

「お(かしら)、こんなところに」

 村のど真ん中に生えたとりわけ目立つ立派な大木の根元で休んでいた者が声を上げた。立ち上がった余力ある者達と彼の指さすところを見てみると、木の根が立ち上がり股を広げて大きなほらを作っており、そこを入り口として地中に向かう道が深く続いていた。足下はしっかりと踏み固められており、幾人もの人が行き来しているのがうかがえる。ひんやりとした空気が、疲労困憊こんぱいした俺らの足腰をわずかに元気づけた。

「入ってみましょう」

地下への入り口を見つけた武人は得意気に提案する。胡蝶はこくりとうなずき、他の木の根元で休憩していた武人達も集められる。

 一列に並んで洞穴を降りてゆくと、広い場所に出た。天井が低く、かがんでいなければ頭をぶつけてしまいそうだ。地中であるのに周囲が見渡せるくらいに明るいのは、絡み合った根っこの隙間からポツポツと外の光が落ちてきているためである。射し込む光に歩いて舞い上がったあとの砂埃すなぼこりがぶつかり、キラキラと細かな宝石のように踊り散る。幻想的な空間に、地面の下に自分がいることなど頭からすっ飛んでいた。

 体勢を低くして歩いていった先には分厚い板で作られた古い扉が立っている。そのすぐ脇には膝下くらいまでの人工的な盛り土があり、辿り着いた者すべての視線をたぐり寄せた。近づいて見れば盛られた土の中央には人工的な穴があいており、底まで漆黒の闇が落ちている。まだ多くの武人が苦労して腰を曲げながら歩いている中、胡蝶は直径十センチ程の穴に身を乗り出して顔を近づけ、大声で叫んだ。

「我々は蝶族の者だー! 遙々はるばる旅を続けているー! ちょっと休ませてくれぬかあー!」

 深い穴は彼女の声をぐんぐん飲み込んでいった。しばらくして、底から返答が上ってきた。

「こんにちはー! ここはセミ族の村ですー! そっちの階段から降りてきてくれませんでしょうかあー?」

 胡蝶は頷き、古い扉をギィと開けてから、先頭に立って薄暗い階段を降り始めた。

 ところどころに灯りがともされてはいるものの足下あしもとを照らすには不十分だったため、俺が術で歩く部分だけ明るくしながら進んだ。一段の高さが低い無数の階段がずらりと奥まで続いている。早く休みたい俺としては、三段飛ばしとかにして一気に降りていきたいところだったが、通路が狭く人一人しか通れなかったため、胡蝶に大人しくついていかざるを得なかった。胡蝶は一歩ずつ踏みしめて、ゆっくりめに降りていた。

「セミ族とはどんな種族だ? 信用できンのか?」

 どうしても背中に問いかける形になってしまう。

「セミ族は大人でいられる時間が少ないんだ。私も少しなら彼らのことを知っている。〝若死に族〟とも、言われている」

 返す言葉がなかった。そうしているうちにまた蛇のような列は無口になった。

 途中角型に曲がったり急に細くなったりする細道を抜けると、最下部についた。畳八畳ほどの広さの空間に、またさらに扉があった。胡蝶が手をかける。

「開けるぞ」

 戸のきしむ音が中の人々に合図する。扉の向こうにいた虫達の視線を集めたが、その中で一人の青年が穏やかな表情で近づいてきて挨拶した。

「あ、蝶族の(かた)ですね? えっと、もっと来るのかな?」

 奥を覗けば休憩所のようになっていて、数人の虫が休んでいた。

「悪いが、昨夕から歩き続けてきて疲労もたまっている。少ない人数ではないが、休ませてもらえないか」

 青年は「ちょっと狭いですが」と言いながら我々を奥へ招き入れた。

その2

 彼は名を蚱蝉(さくぜん)と名乗った。明るく真面目な好青年だった。ひょろりと細長いゴボウのような体格をしており、髪は短めで、粘土に切り込みを入れたみたいな顔立ちで目が細かった。仕草や振る舞いは落ち着いていて大人っぽかったが、聞けば若者らしく明朗に答えた。

 蚱蝉の案内してくれたところは、旅人が泊まれるしっかりとした部屋だった。ひんやりとしている室温が夏場のこの時期にはちょうどよく、地面は土だが高くなったところに畳も敷いてあった。胸の高さ程のところには長方形に壁をえぐり取っただけの小さな物置があり、寝床にも収納スペースがたくさんあった。武人達はそこに荷物を並べ、早速と布団を敷いている。木製の机と椅子が入ってすぐのところにあったが、小さいため座れるのは二人だけだ。胡蝶はそこに腰掛けた。椅子に座っていると、小柄な彼女は人形のようだ。

「全員は入れないみたいですね」

 蚱蝉が親切に他の場所を検討し始めると、胡蝶が椅子を引き、後ろの彼を見上げて言った。

「ここで十分だ」

「でも、半分の(かた)も寝られないですよ」

 確かに畳のスペースと布団の数から言って、眠れるのは三分の一にも満たなそうだ。それでも胡蝶は構わなかった。

「こやつらは重なって眠ればなんてことない。気にするな」

 武人達の背中には抗議のあかしが現れているようだったが、口では何も言わずにせっせと寝床を(しつら)えている。

「でも、みんな一緒にここでお休みになるのはやっぱり……」

 口ごもって言いにくそうだったが、胡蝶や薄紅をちらちらと見ては赤くなっている蚱蝉を見れば、言いたいことがなんとなく伝わってきた。

「大丈夫、胡蝶は格好は女だが、男と同類だから一緒に寝たって関係ない」

 胡蝶が近くにいないことを確認してから言ったはずだったが、すかさず彼女が脱いだ布靴が飛んできて、後頭部を直撃した。

「蚱蝉、この男だけ追い出せ」

 平手打ちより痛くなかったものの、どこまで乱暴な女なんだ。

「冗談に決まってんだろ!?!?」

 頭を抱えて靴を返しに行ったら、怒り目で立ち上がった胡蝶にぶん取られた。

「ジョーダンとは何だ!」

 びっくりして胡蝶の目を覗き込む形になったが、胡蝶は真剣な目つきを変えなかった。

「お前、本当に冗談を知らないのか?」

 それこそまさか、と思ったが、彼女はでっかい目の端を震わせてから、ツイと横を向いた。

「サイジョウヨシヒトの言うことはちっともわからん!」

 そうか、こいつ、冗談がわからないのか。

 なるほどこれまでの固いやりとりに納得はいったが、そうなるとこれからすげーやりにくいではないか。無骨な男達と言うこと聞かずの女と一緒で冗談も言えないとなれば、どれだけクソ真面目な長旅になるんだ。俺の性格上、耐えられそうにない。

「すぐお休みになられます?」

 蚱蝉はご丁寧に、俺らのやりとりを見守ってから尋ねた。

「お前らは先に休んでいろ。私はさほど疲れてないから、案内させてもらう」

 胡蝶が強引に案内を託すと、心優しい蚱蝉は嫌な顔一つせずに彼女のあとについていく。やっと休めるかと靴を脱いで畳に上がろうとしたら、

「何をやっている! サイジョウヨシヒトも来るんだ! 族の手がかりを探すんだろう!」

 とこれまた強制的に連れ出された。

その3

 休憩所や寝床らしい部屋のまとまりを離れ、細い廊下を抜けると、いくつもの扉が土の壁に張り付いて並んでいるところへ出た。扉は穴の入り口を木の板で封じただけの簡素な作りだったが、規則正しく並んでいたため、非常に立派に見えた。左右の壁は雛段型になっていてずっと上の階にもずらりと扉が並んでおり、そこへ上がるための階段がすぐ傍にあった。

 周囲はすべて土で囲まれているわけだが、重苦しいベトベトした感じはなく、乾燥したいいにおいがした。叩いてみれば壁はコンクリートのように固かった。階段も崩れる気配はまるでない。アパートのような住まいかと思ったが、それにしては入り口の間隔が狭く、生活感も感じられない。どちらかと言えばコロッセウムのような芸術的な建築物に近いように感じられる。

「すごいなー」

 天井へと視線を移していきながら、思わず呟いた。

「ここは何だ?」

「修練場です。ここで皆、自分の伸ばしたい技術を向上させるんです」

胡蝶の問いかけに、蚱蝉は答えた。しっかり閉ざされた小さな扉。時々パタリと開いたかと思うと、俺の背丈の半分もないであろう子どもが出てきては、階段を降りてこちらへきて、おどおどした様子で挨拶しながら通り過ぎていった。

「僕の部屋はこっちです」

 誘導してくれる蚱蝉の後を追って、壁にへばりついただけの柵もない階段を上り、廊下を歩いてある部屋へと入った。

 入ったところは、目が慣れるまでしばらく時間がかかるほど暗かった。次第に慣れてきた目が映し出したものはと言えば、天井から吊された豆電球、中央にテーブル、その周りには箱形の椅子、部屋の壁際には花瓶に入った花、タイヤやボールなどだ。中からいっぱいの絵の具とアルコールのにおいがした。そこには誰もおらず、奥にもまだ部屋があるようで扉がいくつかある。胡蝶は興味津々と石膏せっこうの顔などを見つめていたが、俺は一目でわかった。ここは美術室だ。

「僕、画家になりたいんです」

 一つの椅子に腰掛けた蚱蝉は、目の前に立てかけられたキャンバスを見つめながら、意志の座った口調で言った。

 彼の前にある帆布(はんぷ)に描かれた静止画は、はっと声を上げてしまいそうな程、極めて高い成功度で収められていた。奥の方に描かれている洋梨に思わず手を伸ばしてしまいたくなる。しかしその遠近感は異様な形で崩し、、がかけられており、おそらく彼の実力を以てすれば、手前に描いてあるリンゴやらブドウやらを立体的に描くのは造作ないことだろうが、あえて浮き立つ立体感を殺している、ということがわかった。そういう技法なのだと直感で感じた。このうまさで全体に立体感をもたせたならば、どれほど本物と見まがうだろうかと震えた。部屋全体を見回してみる。この部屋すべても彼の芸術の一部かもしれない、だなんて思った。

「ふふ、この部屋の中では、僕が描いたのはこれ一作品だけですよ」

 蚱蝉は満足げに笑ってみせた。

 再び絵に視線を戻してみる。落ち着いた世界の中で奥行きが向こうへいっぱいに広がり、キャンバスの中に世界が宿っている。絵の中に飛び込んでゆけそうだ。小さくなった自分があのカゴの編み目をよじ登っていけそうな不思議な錯覚がして、ワクワクする。

 夢中になって鑑賞していた俺達に、蚱蝉は顔をほころばせて他の絵も見せてくれた。奥の部屋の一つに入ると、各テーブルの上には無数の絵画が並んでおり、彼はそのうちの一つの机に真っ直ぐ向かった。人物画や静止画、油絵や水彩画と、様々な種類の絵がたくさん置いてある。机の下の棚からも何枚も出てきた。個展が開けそうなだけの枚数と、実力があった。俺は絵のことはちっともわからないし、幼い頃に見た美術館の絵なんてなんの印象にも残らなかったが、絵を見ることがこれほどおもしろいことだと生まれて初めて知った。何十枚もコピーがありそうなありきたりな風景画や、どこが芸術的なのかさっぱりわからない滅茶苦茶な抽象画とはワケが違った。

 んでいるんだと思う。絵に。言葉に表すとすれば、それは魂だった。

 にじみ出る想いは一枚の紙に息吹を吹き込み、物語を与え、世界に昇華させてゆく。見れば見る程味の染み出る、深みの重なり。一枚の絵を見るという行為が、まるで映画を見終わった後みたいに、溜め息を据え置いて心を豊かに育んでいくのだ。蚱蝉がたった一つの作品を完成させるのに、一つの人生を駆け抜けていくのと等しいくらいの巨大な世界をくぐり抜けているのを強く感じる。目の前に絵画は何百枚と広げられているのだから、目眩がする。

 俺は絵の世界から我に返ると、びっくりして蚱蝉を見つめた。

 彼はこらえきれない嬉しさと恥じらいで頬を真っ赤に染め、外見よりずっと子どもっぽく、笑った。

「もう物心ついた時から絵画(これ)しかなかったんです。絵を描いている間は、空腹も眠気も全部すっ飛んで、それしか見えませんでした。疲れも何もないんです、絵を描くことが栄養剤みたいで。一つの作品が完成すると、また次のが描きたくてウズウズするんですよ。ホント幸せです! もちろん自分でも気にくわないところはまだあるので、もっともっと上達していきたいと思っています!」

 羨ましいと心底思った。俺にはそんな実力も何もないことが悲しかったけど、幸せそうな蚱蝉を見ているだけで、俺も自然と笑顔になった。

 夢が弾けて光の粒となって、歩いてゆく道にキラキラと舞う。土と絵の具のにおいがさらりと乾いた気持ちを染めてゆく。

その4

 蚱蝉が入れてくれた他の部屋では、何十匹の蝉がキャンバスに真剣な表情を向けていた。そこは絵を始めて五年までの子どもが絵を描く場所なのだそうだ。まだ二桁にも至っていない年頃の子どもの目が燃える程にマジだった。周りも見えない彼らの間を縫って、くるりと部屋を一週した後、その部屋を出た。

 同様の部屋がいくつかあった。レベルごとに部屋が分かれているそうだ。授業を聞く教室もある。教えているのは先輩訓練生、つまりまだ子どもだった。

 最後に来た場所は狭い個室だった。絵を描くための道具が整然と並べられ、使用者の性格を表現していた。壁に貼り付けられたたくさんの絵画と想い。ここは蚱蝉専用の練習場だった。

「僕くらいになると、各自個室を与えられるんですよ」

 それにしても、入ってきたどの部屋も、陰湿になりそうなくらい暗かった。

「なんでこんな暗いところで絵を描くんだ? もっと明るくすればいいのに」

「幼い頃から明るいところに出ると、立派な大人になれないと信じられているからです」

 薄暗がりの中で、今は彼の服装すらきちんと目に映らない。

「あー、早く光の差す世界に飛び立って、夢を叶えた自分に会いたい!」

 蚱蝉が目にしていた絵は、羽ばたく彼と、飛び立った世界だった。明るくも清楚せいそでやわらかい光に満ちた外の世界は何とも言えず不思議な、夢のような心地よさに満ちている。だが暗い部屋の中で灯りをともすように優しく輝くその絵は、一つだけ違和感を持っていた。

 周りを壁に囲まれているのだ。

 見回せば他にも外界(そと)を描いたと思われる絵がたくさん掛けられてあったが、どれもこれも、周囲を壁が覆っていた。

 そして彼の絵はどんなにうまくても、絵の域を超えやしなかった。彼の実力を以てすれば出来るのだ、キャンバスに写真を、実体を貼り付けるような絵を描くことなど。だがえて彼はそれをしない。そこから彼の熱意がひしひしと伝わる。

 彼は〝絵〟を描きたいんだ。彼の筆先は絵の〝絵画性〟を追求し続けている。

 そう思えば彼の絵は、閉じこめられた世界をぶち壊して外へ飛び出しそうなエネルギーを秘めていた。違う、本当は完璧になって動き出したいんだ、と叫び声を上げそうな蒸気機関車、洗濯物、川の流れ、獲物を狙う動物。実物を完全に模写せず、ワザと崩した本物との差異にちらつく不思議な力が異様に光っていた。実物の動植物の姿なんて知っている。どこかちょっと変わったところに、何かしらの新鮮味が輝きを発するのだ。彼の絵を見ると癖になる。

「ずっとここで描き続けるのか?」

「十五になったら、やっと外に出られるんです! 認めてくれる大人が多ければ、プロとしてやっていけます!」

  蚱蝉はにっこりと笑ってから、少しの緊張と期待感をかき混ぜた奇妙な色で顔を染めた。

「外はどんな世界なのか見当もつきません。僕よりもずっと才能のある方々が大勢いるでしょうね。でもここでじっと耐えて努力を積み重ねたら、きっと僕にしか描けない世界が出来上がるんだと思うんです。そう信じて、これからも毎日頑張ります!」

 俺は先輩でもないのにうんうんと物がわかった顔つきをして頷いた。

 これだけの才能とやる気があれば、きっと彼はやり遂げるだろう。

その5

 翌日は情報収集のため、例の細い階段を延々と上がり、地中界の蝉達の言う〝外界〟に出た。青く澄み渡る空があり、太陽がその間に白い光を飛ばし、汗ばむ夏の頬に風は爽やかに吹きかける。ここは俺らの知る、当たり前な外の世界だった。

 外に出た時にやっと気づいた。蚱蝉達は外を知らない。生まれた時から壁に囲まれた世界で生きてきた。だから彼らの〝外界(そと)〟には壁があるんだ。

 蚱蝉が大人になってここに出た時、仕切りのない世界にどれだけ感動するだろう。早く邪魔な物を取っ払って、大空へと羽ばたいて欲しい。

 外はものすごい人だかりでワイワイ騒がしかった。この村に来た時にはこんなに人はいなかったため、何か催し事があると推測した。三人の武人と一緒に背伸びして奥を見る。

「おい、これから何かあるのか?」

 突然の他族の問いかけに逃げ出されるかとも思ったが、まだ若い二人の女性は頭がいっぱいの様子で、胡蝶の方を振り返ると高テンションで答えた。

「これからshining summer(シヤイニング サマー)のライブがあるんです!」

 案の定胡蝶と武人達は何のことやらさっぱりの様子だったが、俺は女子二人に向かって、理解しているよアピールで大きく頷いた。

「チケットどこで売ってる? 当日券買えるかな?」

 彼女達は同じファンだと思ったのかキャアキャア喜んで、細い指を遠くへ伸ばして教えてくれた。見れば最後尾もどこかわからない程の長蛇の列が続いていた。

 胡蝶が人の多さと夏の暑さと自分の知らないことへの苛立ちとでその場を動きたがらなかったので、俺は武人一人を連れて五人分のチケットを買いに行った。

 武道館みたいな近代的なところがあるのかと思ったら、行き着いた先は簡素な屋外ライブ場だった。椅子がなければ撮影用のカメラもない。それでも数え切れない程の観客が詰め寄せているということだけで、遠くから眺める光景はなかなか本格的だった。

 気づけば雰囲気のみでここまできたが、一体俺は何がしたかったのだろう。

 一瞬でも戦争を忘れ、思いっきり騒ぎたい気持ちも胸の奥底にはあったが、正直セミ族の文化がそれほど進んでいるとは思えない。ここにきて期待を思いっきり裏切られ、セミ族の民謡なんかを歌われたりしたら、とてつもなく虚しい。

 隣にいる武人や胡蝶は何事かとキョロキョロ辺りを見回している。ライブが始まったらびっくりするに違いない。また理解できない世界に怒声を上げることだろう。騒ぎ立てても歓声にかき消されるだろうと思えば安心できた。

 開始前のザワザワはハッと息を飲んだ後、甲高いキャーキャー声に変わった。中央のステージに目をやれば例のグループらしき人達が歩いてきているところだった。何の前置きもない。登場シーンという重要イベントも全部カットするシンプルさだ。

 歩いてくる四人は、私服とは違った目立つ衣装で身を飾っている。一番最初に出てきた蝉は髪を片方やや逆立ててメイクをし、首でリズムを取りながら何も持たずに歩いて来る。その後ろから二人のギタリストが登場し、うちの一人が会場に向かって手を振った。もう一人は細身で大人しそうな色白の蝉だ。見た目だけで芸術になりそうな、美しい顔立ちをしていた。最後に出てきた小太りの男性は、ドデラドデラとだらしなく歩いてきた。格好や雰囲気は最初の男と似ていて派手なメイクをしている。

 全く新しい何か不思議な感覚が、俺を彼らに吸い寄せた。

 気儘きままに歩いた彼らはバランス良く散らばった場所で立ち止まり、持っていたギターを構え、配置されていたドラムに向かう。音合わせも肩慣らしもなく、無邪気そうなギタリストがじゃらんと弦を弾いたのが開始の合図のようだった。

 楽しみにしていたものが始まる直前のワクワクが俺をきつく抱き締めた。この気持ちになるのはホント何年ぶりだろう。

 四人が息を合わせて楽曲は始まり、会場は即座に熱気に包まれた。気まぐれ一つで来てみた全く知らないバンドのライブだったが、曲が始まった瞬間に全身が大きくざわついた。心中を読み透かされているのかと怖くなるくらい、好みの波長にぴったりフィットしていたからだ。前奏の盛り上がりに心拍音はスピードを上げて乗っていく。神業かみわざ的なギターがなめらかに会場をなぞり、打ち付けるドラムに心高ぶる。ギターを構える彼らの自由な瞳と、落ち着いたリズムを刻む凍ったビー玉みたいな目。放たれたヴォーカルのメロディーと魂をくすぐる曲調に既にとりこになっていた。音楽を聴くことが幸福でたまらないという感情に、みるみる浸されていく不思議。激しい演奏に気持ちがどんどん元気づけられていく喜び。一見適当そうだけれども繊細で音楽のことに関してだけは微量の力も抜かない、聴衆を惹き付けてやまない力強い魅力。大人になってもう夢中になれることなどないと思っていたけれど、新しいことをはじめて知った子どもの頃をふと思い出した。一瞬の彼らをも逃さぬよう、曲の一時も聴き漏らさぬよう全身で聴き入った。感動した。

 中央でマイクを押さえ、時に激しく時にしっとりと歌うヴォーカルの声は、これまで耳にしたこともない程美しい音色をしていた。心を震わせていく。最初に高く羽ばたいてゆきそうな声が漏れた時は、天使の声かと思った。歌のうまさを遥かに超えて、直接心に気持ちを届けられる感じを受けた。かつてどんなに聞き込んだ歌手の歌でさえ、こんな感情になったことはない。彼にはこういう魔力(ちから)があるのか。それとも蚱蝉のような才能か。

 激しい曲ではマイクをスタンドから抜いて口にあてがい、世界に嚙み付くような壊れた声を出す。それを盛り上げるのは横で魔法みたいに素早い指捌きで奏でられるギターと、後ろで力強く叩きつけるドラム。見てると理不尽なものを全部ぶっ壊してくれそうで、スカッとする。

 ここからじゃあ遠すぎて、ヴォーカルの顔もよく見えない。遠目にしか判断できないが、アイラインはバッチリ引いているものの、目の大きな整った顔をしていた。時々見せるふと天井を見上げる姿さえも印象的で、目を奪われるってこういうことだろうかと思った。彼の〝魅せる〟は、「ずっと見ていたい」と思わせる。動作の一つ一つが、目に記憶されてアルバムみたいにページを増やしていくのだ。瞼を閉じても美しい絵になる。心を打つ印象力というものがあるとすれば、彼らはそれを武器にしている。力強い、これからますます勢いを増して活躍していくバンドに違いない。

 怒濤の歓声とアンコールの声が上がっていた時、やっと我に返った。全身の力が根こそぎ抜き取られ、新しいものにすっかり取り替えられた気持ちになった。来て本当によかった。運悪く知らずに通り過ぎていたら、これからの人生が違った気がした。

その6

 事前に告げておいた時間よりも遅れてしまったものの、蚱蝉は嫌な顔せず迎え入れてくれた。練習の筆を置いて、わざわざ俺達と話すために時間を作ってくれている。彼は外界の様子に興味があるようで、蝶族のことや旅の思い出などを思いつくままに質問してきた。どんなちっぽけな話題であっても、彼は目を輝かせてはにっこり笑い、丁寧に話を噛み締めてくれた。

 彼は特に、セミ族の外界のことには身を乗り出すようにして聞いた。と言ってもこの族の外であった出来事と言えば、例のバンドを聴いたということだけ。俺が夢中で話をするのを、蚱蝉がうんうんと嬉しそうに頷いて受け止めてくれたので、喋っていて気分がよかった。大好きなものを話し始めるとキリがなくなる。大抵は引かれて次からは誰も聞いてくれなくなるものだが、蚱蝉も先を促して聞くもんだから、話が止まらなかった。その間胡蝶は話に入って来られずに不機嫌そうだったが、興奮していたため一切構わなかった。

「そうですか! 僕も早くその方達みたいに、明るいところで活躍したいなぁ!」

 俺は上機嫌で首を上下に振りながら、彼の夢を猛烈に応援した。彼も顔をくちゃくちゃにして喜ぶ。ここに二人の絆が生まれた。

 俺の族についても尋ねてみた。結局わからなかったが、蚱蝉は俺が族の記憶と失ったと知っても軽蔑もせず真面目に考えてくれたことが身に染みる程嬉しかった。

 他の蝶達が寝静まった後も、俺達は部屋を変えて夜通し話を続けた。年齢は倍以上離れていたが、久々に熱く語ったいい夜だった。

 夢の中でも俺は、あのバンドの演奏を聴いていた。

 ステージに立つ彼らを、俺が一人でステージの壁に張り付きながら見入っている。

 ああ、何度聴いてもこんなに心がき立つなんて不思議で仕方ない。

 俺も彼らの曲が言葉にできないくらい大好きだったが、彼らも本当に演奏するのが好きなんだろう。様々なコードや声の調子を使う様子が、あまりにも自然で、自由だから。風を浮力に変える鳥のように、曲を飛び立つ力に変える。憧れがキラキラと瞬き、彼らの演奏に魔法をかける。

 好きで好きで、これほど好きになるものなんてないと言い切れるくらい好きな曲の溢れる世界にいるという幸福が、眠気みたいに俺をくるんだ。

その7

 それから三日ほど経った日、通路を抜けて再び外の日を浴びた。

 あれからというもの、例のバンドのことで頭がいっぱいだった。実は今、胡蝶の名前と俺の術を以てしたら、もしかしたら大人気グループとも接点を持てるのではないかと目論もくろんでいる。ファンからすれば狡猾(ズル)いワザかもしれないが、使える(もの)があるんだから使ってしまおう。別に悪さをするわけでないし、ただ好きという気持ちが高じただけなのだから、引けを感じることはない、と言い訳する。

 だがどうすれば彼らに会えるのか。数日前の人だかりは嘘のように消え、この村に着いた日のように人はまばらである。木陰を離れた村の内部は、真夏の照り返しがきつかった。

「やけに熱心だな。やっと族を探す気になったか」

 早足の俺の歩調に合わせていた胡蝶が口を開いた。また族の話か、とうんざりした俺は、まさか、という言葉を別の言葉ですり替えた。

「今日は休憩」

 胡蝶の表情がすぐさま言い返すふうに強張ったため、さらに速度を上げて彼女との距離を作った。

「休憩ばかりなどしておられぬのだぞ!!」

 彼女の目尻に走る、時間に追われているような焦りはなんだろうと思う。

 分かれて情報収集をしていた別隊と会い、隊長が近づいて報告をしてきた。

「族長はしばしば変わるようで、話を聞いてもあまり頼りにならなそうです」

「そうか……」

 新しい族の集落についたら族長を捜す、はこの旅のお決まりになりつつあるが、そもそもの始まりは胡蝶の提案で、物知りの族長に聞けば俺のことを知っているか否かがわかるだろうという判断に基づくものだ。自らの族に戻れば体が反応するか記憶を取り戻すかはわからないが、俺の感覚だって当てにしてもらいたい。そもそも俺の族を探すのが目的なのなら、俺のペースで進んでいきたいというのが本音だ。胡蝶のペースは何もかも速すぎる。

 うんざりした俺は、胡蝶を置いて村人を捜した。例のグループを捜す手がかりを見つけるためである。あの日はただライブを見たというだけだったから、普段はどこでどんな風に活動をしているのか、さっぱりわからない。だがあれだけの人気を誇るのだから、ファンクラブの一つや二つあるだろうし、彼らの情報を持っている村人だっていていいはずなのだ。

 しかし、時折見かける人を見てふと気づいた。思えばだいたい同じ年頃の若者しか見ていない。

 そこへたまたま二人の女性が通りかかったため、自然と近づいていって声をかけた。

「君達、shining summerってバンド、知ってる? 次いつライブあるんだろうな~」

 振り返った二人は真顔のまま、静かに口を開いた。

「彼らは死にました」

 え、という声が出なくて口の中で固まった。じっと見つめた女性の顔が頭に焼き付いた。目が大きくて綺麗な形の鼻と口をした女性。アイラインを引いたら、あのヴォーカルとそっくりに思えた。

「寿命です。最初にヴォーカルの茅蜩(ぼうちよう)が死にました。翌日ドラムの鳴蜩(めいちよう)、昨日ギターの寒蝉(かんぜみ)蟪蛄(けいこ)の二人も死にました」

 言葉が出なかった。たとえ気まぐれの神様がイタズラで生んだ偶然の出会いでも、俺は彼らが好きだった。もっともっと見たかった。できればここに数週間滞在しても、もう一度だけはあの感動で熱くなりたかった。

「彼らは今年でもう二十三でした。長生きした(ほう)です。大人気の実力派バンドだってので惜しいですけど、寿命なので仕方ありません」

 そう言う口調は淡々としていて、あまりにも当たり前の事実を、至極当たり前に述べているに過ぎないといったようだった。

 ありがとう、と辛うじて呟いたが、彼女達の顔は見られなかった。

 なぜ、よりにもよって俺が地中にいた三日間の間で。

 なぜ、あんなに最高の芸術を生み出して披露してきた天才達がこんなにあっけなく。

 ぼうっとしていた頭に、彼女らの声がお経のように響いた。

「向こうの鳴声山(めいせいざん)に彼らは眠っています」

その8

 紅葉の近づいてきそうなみやびな山を登っていった。終始孤独のにおいが香る山道で何人かと擦れ違った気がするのは、山林の風が人の手のように優しく頬を撫でるせいである。

 頂上に(ほこら)か墓石が――そう思って歩いていたから、見つけた時には声も出なかった。

 彼らはとうに忘れられたかのように、山道の脇に倒れていた。一番最初にドラムを叩いていた男を見つけた。俺が歩いている道のすぐ脇に、意識を失った格好そのままで。もっと進むとギタリストの二人とボーカルも、それそれ離れた場所で、日課であるかのようにごく自然に倒れていた。

 あれだけの功績を残しておきながら、死んでしまえばもう目もくれられずに道ばたの雑草と同じように放っておかれるなんて……。行列を作って周りを囲み、涙を流しながら天国への旅を見守るなんていう行事はないのか?

 ボーカルの茅蜩は、まるで天使が眠ったような極めて美しい顔で横になっていた。すぐ傍にある葉がこすれてまるで(うた)っているようだ。手を伸ばせば簡単に触れることができる程に近くにいる。生きている間は有名すぎて会うことすら難しい彼らに、死ねば誰でも簡単に触れることができるとは……。

 だが畏れ多くてそんなことできるはずもない。

 静かに近寄ってみた。美しすぎる頬は絹で出来ているかのようになめらかで、羽毛のように息をなくした唇がやさしくシルクを彩っている。白い顔に力強く映えるアイラインが、未だに生きているかのように見る者の目を留める。凛々しい鼻だち、動きを止めた喉仏、風がなびく、スタイリッシュな髪の毛。

 天使の寝顔(よこがお)、それは、死という永遠――。

 しばらく見入っていた。悔しいことに、茅蜩は歌っていても永眠(ねむ)っていても、芸術を奏でていた。沈黙という名の鎮魂歌(レクイエム)が彼を守って、永久に彼を冥界に行かせまいとするかのようだ。

その9

 彼らに出会うという夢がこんな形で裏切られたことに加え、死者へのあまりの冷たさに打ちのめされて鳴声山を降りた。

 顔を上げると、来たときと変わらぬセミ族の村だった。同じ日照りに焼かれた地面を人が通ってゆく。何人かを見送って、このうちの少なくとも一人はあのバンドのファンだったであろうという思いが沸騰してきた。でもその熱い思いも、アブクのようにはじけて消えてゆく。さえぎりのない大空に、むなしく広がってゆく。

 そんな時に遠くで、俺を見つけて叫ぶ声があがった。

 逃げるように一人でずんずん進んだ。俺はどこへ向かっているだろう。わからなかったけれども、歩く足は止まらなかった。胸に大きくがっぽりと穴が開いた。ほんの数日前に出会って満たされた心が失って空白だ。頭の中だけはいっぱいだった。めまぐるしくいろんなことを考えていた。足が痛む。胸も痛んだ。なんかもう何もいらなかった。なんにも。

「サイジョウヨシヒト!」

 胡蝶の怒鳴り声がようやく俺の足を止めてくれた。振り返って力なく、追いかけてきた彼女を見た。

「ゆくぞ」

 この村を出るというのだ。

「もう少し、居させてくれ」

 俺の言葉が彼女にどう伝わったのかわからない。胡蝶はしばらく何も言わなかったが、やがて小さな声で問いかけた。

「では、蚱蝉に別れを告げてからいくか」

 もうそれしか選択肢が残されていないという強い声だった。できるのは先延ばしにすることだけだった。

「わかった」

 蘇生の術が使えない自分の非力さをまた思い出し唇を噛んで、涙をこらえながら歩いた。

  蚱蝉にshining summerのことは言えなかった。あまりに早すぎる悲劇。彼らにはもっと世界を元気づける実力が溢れていたはずだ。

 彼らセミ族は、こんなに早く命が尽きることを知っているんだろうか。せっかく叶えた夢が、数年で力尽きてしまうことを。

 薄々は感付いているだろう。それでも彼らは努力をやめない。土の下での苦痛に耐えて、やっと光溢れる世界に飛び立つ。

 だが俺は思い出す。茅蜩の生き生きとした表情。彼らもデビューまで土の下で、毎日寝る間も惜しんで才能に磨きをかけてきたのだ。夢を叶えた時の彼らの幸福は、我々にも想像がつかないほど巨大なものだろう。切り取った一瞬さえも、儚い命を全力で煌めかせている。彼らの想いは高く、どこまでも飛び立ってゆく。

 広く果てない青空の彼方まで。

第5章 蜻蛉族

オマケ:登場人物ネーミング由来

蚱蝉さくぜん:雄の蝉。鳴かない蝉。一説に、クマゼミ。(出典:広辞苑)どうやって行き着いたか不明。

茅蜩ぼうちょう:ひぐらし。カナカナぜみ。(出典:漢字源))

鳴蜩めいちょう:アブラゼミ。(アブラゼミ、の方から辞書で調べて行き着いたのかも。)

寒蝉かんぜみ:ツクツクボウシまたはヒグラシの古称。(出典:広辞苑)

蟪蛄けいこ:夏ぜみ。短命のたとえらしい。(出典:広辞苑):))

由来っていうか、ただ辞書ひっくり返して探してつけただけ。当時どうやって探したのか忘れたから、〝逆調べ〟なる現象が生じた。漢字辞書とか逆引き辞書とか使うと良き。(ネーミングセンスはわろし。)

ちなみに、夏場における高い蝉シェアを誇る(?)ミンミンゼミは、「蛁蟟ちょうりょう」っていう呼び名があるようなのだけど、漢字がどっちも漢字辞典に載ってないものらしく、諸事勘案して不採用とした。(今思えばそんな悪くないかも。)
まぁ弊社のネーミングセンスに合わなかったからと言って、キミが落ちこぼれている訳では全くない(むしろ優秀だったりする)ので、そんなに落胆しないでね。(←謎メッセージ)

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