私は小学校高学年から中学生にかけて、漫画家に憧れてイラストを描いていた。
きっかけは、友人がマンガとともに自分が描いたというイラストを持ってきてくれたことで、
ササッと仕上げたような画風に、
私もこんなふうに描いてみたい!と思ったのが始まりだった。
でも、練習をしてやっと少しは〝絵〟らしくなったかと思っても、
だった(※両方筆者画。これくらいの実力差がある、という例示)し、
美術部の子なんかからはイラストをリメイクされてその激しい実力の差を見せつけられるような状況だったし、
極めつけには、おかあから、
「○○ちゃんの絵には躍動感があるのに、お前の絵にはちっとも動きが無い」
と言われ、その日に私は漫画家になりたいというささやかな夢を右手の中でひねり潰した。
自分は才能型ではなくコツコツ型だという自覚はあったし、何につけても要領が悪くてちっとも上達しないことはわかってたけど、それでも絵を描くことは好きで、下手なイラストを地味に続けてはいた。
そんなある日、ニャン(←弟)の部屋から、こんなものが出てきた。
え……?
え…………??
ってか、ニャンがイラストの練習してるところなんて1秒たりとも目撃したことが無いのに……!?
……ん?
さらに拡大。
ヤバい。こんな所に星のカー〇ィをコラボレーションさせようとは、根っからの阿呆。である。
ニャンはなぜか悪人どころの斎藤一(『るろうに剣心』by.和月伸宏)をこよなく愛し、おそろしい長文のセリフを暗記した。カ行五段活用とかは全く覚えられないのに、である。
セリフばかりをつらつらと暗記している様子しか見たことが無かったので、ちょっとこの絵が突然出てきたのはびっくらこいた。
ヤツは1ミリたりとも「漫画家にゃりたい」などとは鳴いたことがない。趣味の範囲でこれをやってのけているのである。
まぁ確かに、左腕から左手にかけての遠距離感とか、「斎藤一」という字の手抜き加減とかは素人さんという感じだが、このレベルをほとんど練習しないで描けちゃうって、ある種〝才能〟ってヤツなんじゃないんだろーかー(羨望)。
そしてその記憶力、英語の構文暗記とかに活用出来ればヤツもスーパーキャットに成り上がったに違いないが、世の中そううまくは問屋が卸さないというものである。
私はその後もイラスト描いたりはしてたが、誰かの描いた絵を真似することしか出来ず、時間がかかるくせに上達しないことにイライラするようになってしまったのでやめてしまった。本当に好きなら、上達なんてしなくても描いてしまうんだろうなぁと思うと、ただの憧れだったんだろうなと今では思う。
↓姉が諦めた瞬間
剣心「おやすみするでござるZzz」
薫「お疲れさま」
でも、大人になってからもおふざけイラストを描いていたりもするし、かりそめのアイコンくらいなら間に合わせられるし(苦笑)、イラストに憧れた時間は無駄ではなかった。
そしてたぶんニャンは、これに時間を費やす価値があるか無いか、という視点ではなく、ただ単純に「描きたい」から描いていたんだろうな。私はどうしても、これから行うことが将来自分にとってプラスになるのか、時間をかけた分が返ってくるのか、無駄にならないのか、とかいう小難しいことをうだうだ考えてしまうから、苦しいのかもしれない。
にしてもニャンは、斎藤一のセリフを極めるよりもまずは、五段活用や英単語の意味を覚えるべきだったよ……!
ド阿呆。(ニャー)
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