【雑学短編創作】信号機の独り言

アイキャッチ(信号機) 短編
筆者
筆者

執筆大好き桃花です。

今回は、もしも信号機が独り言を言ったら、の設定で、

雑学や豆知識を踏まえながら気ままに語って(もらい)ました。

話者概要

生まれついた時から信号機。少々ケンカ腰だがそれなりに知識はある。

主に下記サイトを参考にさせていただきました。ありがとうございます。

B or G

まずな、「青、お前本当は緑だろ?」ってドヤ顔で突っ込むなよ。いいか、信号機が出来た当時はな、〝緑〟って色はなかったんだよ。そもそも緑の概念がなかった。だからこの色を表現するのには〝青〟って言葉しか存在しなかったんたんだよ。パソコンのない時代に、「将来の夢はYouTuber」なんて誰も言えなかっただろ? それと一緒だ。

で、時代の変遷とともに色の表現の仕方も多様になってきて、青の派生形みたいな感じで〝緑〟が登場した。森や茂みがいっぺんにして〝緑化〟したわけだな。そんでもって、信号を見上げたヤツの中に、「あれ、この色、青って呼んでたけど実は緑だったわ」っていうのに気づくヤツらが出てきた。でももう後の祭り。だってそれまでさんざん「青」って言ってきたんだから、今更「緑」になんて変えられねぇよ。生まれた時に命名された名前っつーのは、大人の事情で変えられないもんなの。堅苦しい事を言えば、家庭裁判所とかに申し立てしないとダメでしょ。詳しいことはよくわからんねーけど。

ってなわけで、信号機は〝赤、黄、青〟なんだ。一歩間違っても「緑だ」なんて言っちゃあいけない。安易にそれを口にするのは、白痴なヤツだと覚えとけ。

……なあんていう話を鵜呑うのみにしたヤツ、「常識を疑え」なんて言う資格無し。全部ウソだ。でっちあげだ。

強いて言うなら、最初はちゃんと「緑」って呼ぼうとしたらしい。だがなかなか浸透せず、どこぞの新聞社が「青」って言ったらそっちで広まっちまった。要は「緑→青」の逆改名だ。当時のヤツらに、「これ、緑ですよね?」って言ったら、「はぁ?」って変な目で見られるか、眼科を紹介されるのがオチだろう。

で、ここまで知ってたら蘊蓄うんちく垂れていいだろうよ。くれぐれも、最初「緑」スタートで走り出したことを知らずに「あれは青じゃない」なんてほざくな。恥ずかしいことこの上ない。

まずな、こいつが青もどきのニセ色でなかったら、どーなるかわかってるか?

な? 空と同化して進んでいいのかわかんねぇんだよっ!!

信号機は瞬間的に正しく判別されるようじゃなくちゃ生存価値無し。「緑だと木の葉と同化して見えないんじゃね?」とか言ったヤツ、考えが甘いな。道路交通法やらの規則で、信号機の周囲に障害物置いたり茂みが絡まったりしちゃいけないルールになってんだよ。詳しくは役所に聞いてくれ。自然の緑ともはや同化してる信号見たってヤツは……、その信号機は見捨てられてる。同情してやってくれ。

抜擢要因

そもそも、なんでこの3色が抜擢されたのか知ってるか? って、変わった逸話でもあればおもしろいんだろうが、まぁ「国際基準」で決められてるからなんだってよ。

この「赤」「青」「黄」は俗に言う〝三原色〟で、この3色の絵の具があれば白以外何でも作れる、って、小学校の頃図工でやらなかったか?

難しく言うとだな、赤はスペクトルの波長が長く、他の色よりも前方に飛び出して見える〝進出色〟だ。ドライバーに最も強いメッセージを伝えなければならない「止まれ」は、水蒸気や霧の中でも光が散乱されにくく遠くへ届く「赤」を、日本基準で定められたドライバー側である右側に置くことによって、より視認性を高めていると言える。一方波長が短い「青」は〝後退色〟と呼ばれ、遠くに引っ込んで見える色なんで、前の車がブルーだったら気をつけてないとぶっかるぞ。で、色を環状に並べた〝色相環〟というものでは、「赤」から遠く離れている「青」を「進んでよし」、どちらからも離れてる「黄」を「注意」とすることで、それぞれの色の見分けがつきやすいよう配慮されていると言える。

歩行者最強のルール下で

歩行者用の信号機、あれ、なんで点滅するタイプになってるか、知ってるか? それはな、ダラダラ歩いてるヤツをかすためだよ。決まってるだろ?

……冗談だよ。点滅したってダラダラするヤツはダラダラ歩いてんだよ。もっと言えば、スマホ見ながら歩いてるせいで、赤になったって気づいてないヤツもいるよ。イヤホンして動画見ながら歩いてるせいで、歩行者用信号機が歌ってるのも聞こえてすらねぇよ。

考えたヤツ天才だわ

発光ダイオード、別名LED、あれ考えたヤツは天才だな。なんつーか、疲れない。これは偉大なる功績だ。お前ら人間にはわからんだろうが、実は俺たち、かなーりエネルギー消耗してる。ただピカピカ光ってるだけだろ、って思ったヤツ、1日代わってやるぜ? 立ち仕事な上に、24時間フル営業。信号稼業は年中無休。縁石に座ってるばぁさん、羨ましいことこの上ない。俺も1度でいいから道路に寝そべってみたい。「三が日」とか「ゴールデンウィーク」なんて言葉は、〝信号辞苑〟には載ってない。

ただ難点はなぁ、あれ、雪が溶けにくいんだわ。エネルギーがいる=熱い、っていうのはなんとなくわかってもらえると思うが、その反面、熱で雪が溶けなくなってる。東北に住んでる知り合いから聞いた話だが、LEDで疲労感も厚みも軽減されて身軽になったはいいが、気づくと目に雪が張り付いて、前が見えなくなってるんだってよ。信号機から見て前が見えなくなってるってことは、……わかるよな? 「信号って年中無休の仕事だと思ってたけど、最近は冬眠することもあるんだねぇ」とかって言ってた。いや、ダメだろ信号が眠っちまっては。新技術故の苦悩だな。

信号界のしょうゆ顔とソース顔

信号機というとライトが横に三つ並んでるのをイメージするかもしれないが、信号界には幅広野郎と面長野郎の二種類がいる。まぁ有名な話だから説明は不要かもしれないが、縦にライトが並んでるタイプもいるってことだな。

この違いは何かって言うと、マクドナルドを「マック」と呼ぶか「マクド」と呼ぶかの違いのようなもので、要は地域柄。雪が多い地域で横型の信号機だと、雪の重みでやられちまうことがある。縦型にすることで雪をかぶる幅を狭くして重みに耐えられるようにするのと、雪をかぶって全部のライトが見えなくなっちまうのを防ぐ目的で縦型にしてるっつーわけだ。ちなみに、雪の重量と視界封じに対して前面で闘ってる一番上のライトは、赤。三色の中で最も視認性が高い赤が体張ってるってことだな。

まぁ結論は

いろいろ喋っちまったが、まず安全運転しろって話だな。俺らから見てると、マジであり得ないくらいいろんな運転するヤツがいる。あとは交通規則たるものをもはや独自に〝改正・施行せこう遵守じゅんしゅ〟してる歩行者やチャリ野郎な。俺はこの三ツ目で、毎日恐ろしい数の〝ヒヤリ〟を見てるわけ。で、そのほとんどが、スマホのチラ見とか、「これくらい行けるっしょ」的な一瞬の気の緩みで起きてる。どっかで聞いたことのある、とうに聞き飽きたセリフだろうが、ホント人間は自分には関係無いとかこつけて聞き流すからな。このネタで喋り出したらもうキリがないくらい、ヤバイヤツがいっぱいいるんだわ。俺らいる意味ある? みたいな。ま、機会あったら話すわ。

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