執筆歴20年超の桃花です。
今回は、小説・マンガなどの創作物で欠かせない「キャラクター・登場人物」の作り方のヒントをご紹介します。
今回も読み物の一つとして、気軽に読んでくださいね。
まえがき
これは過去に小説の書き方指南書から仕入れた情報だ。
何も創作の世界に限った話ではなく、心理学などでも有名な話だし、有名人や経営者などもよく口にしている話だ。体感ベースで知ってる人も多く、「なんだそんな事か」と思われるかもしれない。が、知らずに書き続けている人もいらっしゃるかもしれないので、プチヒントとしてご紹介する。
【ドラえもん理論】
ドラえもんが愛される理由
「人は長所で尊敬され、短所で愛される」
一体誰が最初に言った言葉なのだろう?
言われてみればなるほど納得だが、知らずに自分の欠点を隠そうと必死になっている人のなんと多いことか。
ドラえもんが何故愛されるのかと言えば、「四次元ポケット」なる無敵のアイテムを装備していながら、ネズミが大の苦手、ということらしい。弱点があるからこそ憎めない、愛すべきキャラになるというのだ。これが、イケメンで性格も超理想的で頭脳明晰、運動神経も高く、何でも思い通りにいく最強キャラだったら、よろしくないらしい。
でも主人公なんかは、ついつい無敵でカッコよくモテモテな、我々の願望をたっぷり詰め込んだ夢いっぱいの人物として描きたい、となる。
そうやって生まれた作品も実際にあると思うし、とことん願望を詰め込むのは個人的には嫌いではない。
だが、
- どこかウソっぽくてとっつきにくいというか、
- 何もかもうまく行き過ぎてもはやストーリーが面白くならない(全部易々クリアできちゃうからね)というか、
- 共感できないから卑屈な人に嫌われちゃうというか、
とにかくあまりいい方向に向かわないみたい。
人は完璧に憧れて、学力も運動神経もルックスも経済力も健康も人間関係も人生もぜーんぶ満たされたい! って思いがちだし、それを欲するがあまり創作の世界にこそ求めようとしたりする。でもそれだと、あまりにも現実からかけ離れ過ぎてしまって、登場人物に感情移入出来ない、物語に没入出来ない、ということが生じるようだ。
心理学の観点から
人は自分の欠点や弱みを隠したがるもの。でもそれをあえて開示することで愛されるし楽になれるぞ、というのは心理学などでもよく言われている。
弱い部分を隠していい面ばかり強がって見せ続けるより、弱い部分もさらけ出してしまった方が、相手に人間味や親近感を感じてもらいやすく、かえって心理的距離が縮まるということが起きやすい。
恋愛でも、付け入る隙の無い完璧で手の届かないような相手よりも、普段明るく頑張っているのに、急にほろりと弱い一面を見せてくれた相手に惹かれる、というのはよくあることだ。普段幸せをくれる人が笑顔の裏に隠している苦しみや涙をわかってあげたい、支えてあげたい、と思うのが恋心というもの。
欠点や弱みのあるキャラが悩み、苦しみ、それでもめげずに頑張るからこそ、読者は自分とキャラを重ね合わせ、応援したくなったり、胸が熱くなったり、一緒に泣いたり、共感出来るのだ。そのためには、どんなに創作物の登場人物として描くに足りる超人だったとしても、何かしら弱いところ、人間らしいところをきちんと与え、描いてあげよう。
そして、得意分野や長所で目一杯創作世界を駆け回らせ、魅力をさらに倍増させてあげよう。
ポイント
★大事な点
とにかくギャップだ。陰と陽を広く取れ。意外過ぎるものの組み合わせを使うことで大きなドラマが生まれ、トピックも立てやすく、読者の心を大きく動かすことが出来るだろう。
- (+)メチャクチャ強いのに、(-)私生活はメッチャだらしない。
- (+)メチャクチャイケメンなのに、(-)虫だけはとにかく苦手。
- (+)メチャクチャ可愛いのに、(-)とにかく空気読めない。
- (+)メチャクチャ頭がいいのに、(-)とことんモテない。
弱点があるのに、いやあるからこそ、愛おしいキャラに仕上がりそうではないだろうか?
女子に至っては、もう可愛いだけでどんな欠点もプラスに変換されてしまうぞ。男子は実力的にでも心理的にでも、強いだけでだいぶカッコいい。マイナスがあるからこそ、プラスがさらに際立って、すごく魅力あるキャラになるのだ。
まとめ
というわけでまとめると次の通り。
魅力的なキャラクターを作るには、「好きなもの(長所)」と「嫌いなもの(短所)」を両方持たせろ。(あるいは、「得意」と「不得意」、「魅力」と「弱点」など。)
両者のギャップが大きければ大きい程、キャラクターが面白くなる。
特に、「弱点」を持たせることが大事だが忘れがちなので気をつけよう。
【スーパーサイヤ人理論】
A:プラスマイナス型
もしくは、ものすごく飛び抜けた才能がある人、などでもいいかもしれない。
なぜなら、長所は短所、と言うように、尖った性質は裏返すとどうしようもない欠陥となる。馬鹿と天才は紙一重。能力や強みがあり過ぎるが故に生じる悩みというものもあるに違いない。
- あまりにも武術が強すぎる(+)。故に危険人物とみなされて幽閉される(-)。
- あまりにも頭が良すぎる(+)。故に誰とも話が合わずに孤立する(-)。
- あまりにも美人過ぎる(+)。故に同性から妬みや嫉妬を買い、酷い仕打ちを受ける(-)。
書いてて悲しくなってきた。欠点があっても人は悩むけど、それを手に入れても悩む。「美人は美人なりの、天才は天才なりの悩みがある」とはよく言ったもの。人生ってどう転んでもしんどいなあ。
B:プラスオンリー型
いや別に、ものすごく飛び抜けた超人であれば、目立った欠点がなくても物語は成立するだろう。スーパーサイヤ人とかがまさにそうかもしれない。とにかく○○が強い、とかだとそれだけで一つの話は出来る。これで構成されている小説も少なくなさそうだ。
だが、Aのプラスマイナス型(弱点あり)と比べたら幾分インパクトには欠けるかもしれない。
とにかく、どこかぶっ飛んでるのがよい。いわゆる〝キャラが濃い〟というヤツ。
「平均的」「フツー」のキャラは広く共感は得られるかもしれないけど、印象に残りにくい。ちょっと異常、オカシイ、くらいの人の方が、好き嫌いはさておいて、記憶には残る。
(注意:「ぶっ飛んでる」とは必ずしも「変人」とはイコールにならない。高校サッカーで右に出る者がいない、とか、○○任せたら何時間でもぶっ通しでやっちゃう、とかそんな〝どこかにはいそう〟なのも含む。)
でも、あまりにぶっ飛びすぎてる変なキャラだとストーリーとか設定が崩れかねないので、そこらへんの兼ね合いはうまくやろうね。
まとめ
まとめると、
魅力的なキャラクターを作るには、とにかくぶっ飛んでいる、キャラが濃い、を目指せ。
- A:プラスマイナス型……プラスが行き過ぎてマイナスも生じている。
- B:プラスオンリー型……とにかくプラス側にぶっ飛んでいる。
「弱点」はあってもなくても成り立つ。マイナスオンリー型というのもいけるかもしれない。
【オマケ(ネタ)】某有名マンガから学ぶキャラ設定
①イケメン理論
②ヒロイン理論
③主人公理論
第マイナス237訓「悪役の親玉と重要サブキャラはイケメンであるべし。」
第マイナス548訓「ヒロインは、美人(可愛い)かつ暴力的であるべし。」
第マイナス826訓「主人公は、顔と性格の善し悪しに関わらず、〝諦めない〟だけで成立する。」(ジャンプ理論(仮称))
……というわけでこのチャプターは完全なるネタ。
弟からだいーぶ昔に勧められてシカトし続けていたマンガ『銀魂』を約5年越しに読み出した私。
という訳で、高杉様が描きたかっただけなのだ。(上記おふざけ教訓は後付け。)他のキャラは結構気合いで描いた。……はずなのに、気持ちと結果が比例しない事態(上手く描きたいキャラ→下手、ついでで描いたキャラ→アレ、目立ってる?)が発生した。全体的に技術力不足悲しい。
でも銀ちゃんと約束したからね。ちゃんと後で真面目に描くよ、て言ったからね。あのマンガ(=『銀魂』)は約束守る系だからね。
でもパッと見カッコイイ系に仕上げたかったので、銀ちゃんも真面目モードにしたら、「あれコレ誰だっけ?」ってなった。弟に見せたら、
「まぁ悪くはないけど、らしくないね。銀さんはやっぱだらしなくないと」
とかって言われそう(予想・高確率 ※)。私の方が絵心無いから反論は不可能。ハイハイ、真面目に描いても不真面目に描いても私はうまくいかないですよ練習不足だから仕方ないですよハイハイハイ。
高杉様は、この荒れ狂った猥雑な世界の中でも下ネタに無関係な所がいいのさー♪(脳内お花畑)
……マテ、先を言うなし。私はまだ旅の途中(=読み途中)だ。片想いに胸をときめかせるオトメのように、今一番〝楽しい〟時期なんだ。これから先、思いもよらぬ異変が生じたとしても何も言うな。夢を見させてくれ。
『銀魂』の主人公「坂田銀時」は、すごくわかりやすい【ドラえもん理論】のキャラクターだ。ものすごくだらしない系なのに、すごく強い(真面目な所ではちゃんと仁義を通す)から不動の人気キャラ。
って一応本題に関連づけて、今回の授業は締め括ることにする。
銀ちゃん進化論(イラスト)に興味ある方いらっしゃったらこちらからガラパゴってください。他のイラストも同じページにいます。
最後に
キャラ設定というのは、どうしても自分が知っている人物やマンガ等のキャラに近いところから入っていくものと思うけど、たくさん書いてあるいは描いて、より読者の印象に残る魅力的なキャラクターを作るようにがんばろう!
※追記
弟にイラスト送ってみたけどノーコメント(スルー)だった。この件に関しては私もノーコメントで……。
※さらなる追記
その後弟から思惑通りのコメント届きました(笑)
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