【創作のヒントその3】お笑いから学ぶ〝面白い〟とは何か

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筆者
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執筆歴20年超の桃花です。

今回も、創作物を考えるヒントになるかはわかりませんが、お笑い芸人さんに知識を乞おうと思います。

いつもの通り、読み物の一つとして気軽に読み流してくださいね。

面白さとは何か

小説、漫画、ドラマ、イベント、動画制作、……。

創作をしている者なら必ずぶち当たる問題、それは、

〝面白い〟とは何か?

というものである。

こういった抽象的で漠然とした問題について、考え出したらキリがない。

そもそも人の好みなど多種多様なのだから、突き詰めても意味はないのではないだろうか、

という声が聞こえてきたり、

面白さは鍛えられるものではなく、もはや才能だから仕方ないのではないか、

という溜め息交じりの説まで出てきてしまう。

それはごもっともだ。

こういった悩みは、何かの目標に向かって突き進んでいる者は必ず通る道であり、〝答えの存在しない難問〟の1つであるに違いないもので、時間を費やして真面目に考えてもやはり、明確な答えというものは存在しないのである。

それでもやはり、人気のある作品、そうでなくとも、個々人が面白いと思う作品、というものがこの世に存在するのは確からしい。

それは何なのだろう?

極めるとすれば、一体何をどう極めればその境地に近づいてゆくのだろう?

ここでこの答え無き問いは再び無限ループを繰り返す……。

もうこうなったら、プロから学ばせていただく他あるまい。

小説家? エッセイスト? 漫画家? 映画監督? 歌手?

いやいや、もっとストレートに、お笑い芸人という最適な職種があるではないか!

お笑い芸人は、提供すべき商品が笑いそのものである以上、〝面白さを提供するプロ〟である。

笑いを突き詰め、笑いにつまずき、笑いで食べ、笑いに泣き、笑いを生きる。

なんかもう笑ってるのか泣いてるのかわからなくなってきたが、誰もを魅了するあの〝面白パワー〟なるパワフルな力は健在である。

もうこれは、存分に学ばせていただく他あるまい!

さて、お笑い芸人にとって、観客が鏡のようについとなっているのと同様に、

小説家やミュージシャンという作者(創作者)に対して、読者、聴衆というものはついて回るもの。

両者にとって、その反応でもって売れ筋や人気が決まる以上、完全に無視する訳にもいかないものだ。

書きたいものを書くのだ! という猪突猛進型の人はそれでもよかろう。(私はむしろこっち派だが)

それでも、ただ突っ走る、ではなく、その向かう先を定める一つの方法として、

観客の反応と面白さ、の2点について敏感であり博識であり、経験豊富に知り尽くしたお笑い芸人を今回の師としてお招きしよう。

……という訳で、明らかに進むべき道を逸脱しているのはわかっている。

私のような筆力不足は、まず〝本を読んで、書く〟を師とすべきだろう。

だが、根詰めて目先の道のりばかりを突き進んでも窮屈なだけだ。

時にはこうして寄り道をして、視点を広げるのだ!

(……っていう、正々堂々たる大それた言い訳)

注意:自称〝道草のプロ〟の戯れ言なので、正規ルートで効率良く向かいたいという方は、コツコツ読書して、ちゃんと執筆しましょうね。

面白さの種類

面白さと一口に言っても、

  • ①ユーモア、ジョーク、ギャグ、と言った、いわゆる〝おかしくて声に出して笑う〟タイプの笑い(funny)
  • ②〝夢中にさせる〟〝引き込む魅力がある〟〝ずっと見ていたいと思わせる〟といったタイプの面白さ(interesthing)

といった種類に分かれる。(他にもあるかも「顔白い」とかね←死滅ギャグ)

お笑い芸人が主に扱う面白さとは①だろうが、

小説などの創作で目指す面白さとは、どちらかと言えば②の方だろう。

両者の系統はやや異なるが、当然お笑い芸人も②の面白さ・魅力というものを兼ね備えているに違いないだろうということを前提に、

個人的に気づいたポイントを列挙していこうと思う。

なお、現在進行形式かつ試行的な記事につき、他に気づいたものがあれば随時付け加える形で作成していく。(とか言って更新しないだろうなぁ;)

※注意:お笑いについては素人なので、たぶんNS○のスクールなどで教え込まれるものとは一致していないと思われる。お笑い芸人を目指している方々にとっては、時間浪費の道草にしかならないはずだ。こんなことよりネタ収集と練習頑張ってください。

面白さの8項目

それでは、お笑いを見ていて個人的に感じたお笑いの要素について挙げていく。

なお、矢印の後の表記は、それによって生み出される効果について書いたものである。

「確かに!」という的確な一言

 ハッとさせる、要約、スッキリまとまって爽快、共感

〝面白い〟の要素の一つとして、言葉にしてみたらこういうことではないかと考えた1つ目がこちら。

うまいMCの人、ポロリとこぼれる一言やツッコミがうまい人、人々の記憶に残る大喜利解答をする人はこれがけている。その場になんとなく漂った雰囲気を、的確な一言で表現する。難しいけど、これが出来ると、見ている人は自分の感じてる気持ちや世間一般の共通感覚を説明してくれてスッキリ!ってなるのではないかと思う。

また、この時の表現の仕方、例え方、言葉の選び方などは、それまでの知識や経験の蓄積などから選び抜かれるものだから、日々の細かな修練(ネタ集め?)なんかがすごく大切なんだろうなぁ。

その発想はなかった!

 驚き、びっくり、目が覚めるような軽いショック

「驚き」もまた、〝面白さ〟へ繋がる一要素である。「え?」の後、「すごい!」もしくは「何それ」がついてくる。そして「面白い! もっと見たい!」となっていく。

「驚き」を提供するための具体例(お笑い由来)を下記の通りに列挙してみる。

 1)暗黙の了解、ルール、前提条件を破る。

実例(動画)がちょっとわかりにくいかもしれないけど、イメージだけでも伝わるように貼っておく。解説も下手だけど許してね。

 例1:そもそもお題の意味(暗黙のルール)を読み替える。

参考:もう少し長めの解説ありver. ←「写真で一言」のロジック解説付き

解説:「写真で一言」は、写真の中の動物・人などが実際に話していそうなセリフ(表情に合っているもの)を答えるのが一般的(暗黙のルールみたいな)。それを、この大喜利ほぼ未経験のりなぴっぴは、本物の動物(牛のようなヤギ)のセリフっぽいのを回答。(表情云々よりもそもそも見た目でいったというか。)逆転の発想というか、経験少なめだからこその着眼点(ほぼ天性の才能?)なのかもしれない。

もっと他に、「いや、そういうことじゃなくて!」とツッコミを入れたくなる実例はたくさんありそうだ。

 例2:「次こう来るだろうな」というパターンを提供しておき、あえて破る。

解説:最初の数問がなぞなぞモードで出されているので、回答者がすっかりなぞなぞ思考でいたところに、常識を突き付けたというオチ。このパターンもうまく使えばいろいろできそう。

 例3:天性の発想 ←不思議キャラ、アーティスティックキャラ

ホリけんさんとかこれ系なんだろうな、と思った(りなぴっぴもか)。発想が、その人しかできない、個性的なもの、あるいは斬新なものがこれに当たるだろう。

 2)皆が知らなかったことを言う。

 例:単純に物知り(雑学とか)

くりぃむしちゅーの上田さんとかを指すのだろうか。芸人さんは多才な方や頭のいい方がいっぱいいらっしゃる。

お決まりパターン

 →安心感、慣れ親しんだもの、予想がつくもの、規則性があって落ち着く感じ

昔何かで読んだ本で、「水戸黄門はなぜ人気なのか」というものの解説として、次のように書いてあった。すなわち、水戸黄門はパターン(悪者に印籠を見せて懲らしめる)が決まっていて、そのパターンを毎度忠実に守るから、視聴者は安心して見ることが出来るために見る、のだそうだ。

②(「驚き」の提供)とは真逆だが、実際には人気作品を見るとこれに分類される作品も少なくはないように思う。笑点、ちびまる子ちゃん、こち亀、などのいつものパターンの番組を習慣的に見て、安心感を覚えたいのかもしれない。(「驚き」はちょっと心臓に来るというか、プチ精神疲労が生じる。)

ただこの要素については、ご年配の方にウケがいいように感じる。若い層には刺激やびっくり感の方が人気ありそう。(桃花個人の感想です。)

※既に終了している番組を含んでいます、ご了承ください。

その人らしさ・個性

例:毒舌キャラ、癒しキャラ、ポジティブキャラ

キャラ設定は重要だ。たとえ嫌われ者となろうが、突き詰めれば、その枠としては必ず呼ばれるようになる。だが、故意に奇妙な役を作ろうとしすぎて、失敗するということもあり得る(芸人さんは特に)。

本来の自分の個性を生かしたもの(もしくはその延長線上)にあるのが良いだろう。無理して仮面をかぶっていてもいつか限界が来そうだし、見る側にとってもその異様なはみ出し部分に違和感を感じるものだ(白ける、っていうかね)。

個性は研ぎ澄ませると、最強の武器になる、というのが私の持論だ。そこに至るまでは相当な時間と努力は必要だと思うが、それにしても余りあるものが生まれると考えている。当然見る人の好き嫌いを大きく左右する要素だが、故に効果は絶大だ。個性を押し殺さずに、もっと自由に解放出来るような寛大な社会であって欲しいと常々願っている。

弱点や失敗をあえてネタにする

 →強さ、勇気、自虐、ポジティブ、前進

スキャンダルをあえて自虐ネタにしている芸人さんが多いように思う。なんか、そうでもしないとお仕事続けていけない、ってこともあるだろうけど、皆さんだったら、一度炎上しちゃったらその事件を引っげて同じ舞台(環境)にもう一度出て行く勇気はある? 結構、小さい失敗だけでもかなりハードル高いものだと思うんだよね。

そう考えたら、特に長い芸人さんなんかはさすがメンタルも強いんだろうなぁと感じる。

これについては、そのタフメンタルの部分を大いに学びたい(スキャンダルしやすい部分じゃなくて)。

自らの失敗を笑いに変える、過去の至らぬ自分を笑い飛ばして先に進む、その過程で見る人に勇気と笑いを提供する、自分を踏み台にしてまでも。この力強い姿勢は、一般人たる我々も多いに学ぶべきところがあろう。

役、なりきり感が高クオリティ

 →再現性、リアリティ、没入感や世界観を生み出す

どんなにバカバカしい設定でも、なんかもう憑依したみたいになりきって役しちゃう上手な芸人さんには、すごく引き込まれる。それだけで世界観を作り、観客も世界に入り込んで没入感を得る。共感度が増して、品質も上がって、作品として素晴らしいものに仕上がる。ある種、アニメや映画を見ている時と同じような心境になるのかもしれない。

お客さんを引き込むに当たって、俳優さんみたいな役のなりきり感って大事だな。そしてそれは、もちろん生まれつき備わってる人もいるだろうけど、やはり日々の練習に尽きるのかもしれない。

タイミングが完璧

 →、呼吸、ベストタイミング

やっぱねー、タイミングとかリズム感みたいなって大事よ。それは歌手だけでない、お笑いもそうだけど、日常生活においてや、たぶん漫画や小説なんかでもね。

リズムネタ(歌ネタ等含む)がいい、っていう単純な話ではないよ、比喩的な意味だよ。まぁ歌ネタも楽しくてノリがいいものは凄いと思うし好かれるけどね。

解説するまでもないかもしれないけど、その言葉を発するに当たって、最適なタイミングというものは存在するのだ。そこを逃したら、どんなに面白いものでも効果が半減してしまうし、逆に異様なタイミングで放たれた奇妙な一言に、ドッと会場がく時もある。個性として喋り方のスピードや返事までの時間が独特な人もいる。

セリフとか舞台で言われるところの、〝間〟みたいなもの。当然お笑いでもこの〝間〟というのは重要視されていて、これが絶妙な人というのは強い。ネタの掛け合いでも下手な人はこの間というものがやっぱり下手だ。その肌感覚というものは天賦の才で備わった人もいるに違いないが、やはり鍛えることでこそ磨かれてゆくものだろう。

複数回提供する

 →知識や持ちネタの豊富さの提供、凄さ

うまい芸人さんは、面白いことを1度で止めず、次へ、次へ、という連続で飽きさせないと思う。逆にまだまだの芸人さんなどは、1個のネタに大きく賭けて、「これどうよ?」って大振りして客の反応を見てたりするけど、単純にネタの数が不足してるようにも思う。

めくるめく凄い技を披露されて、観客は素直に「凄い」と感じるのだ。数の多さは単純に「凄さ」「強さ」「うまさ」へと繋がっていくようである。

そして当然その知識や持ちネタというものは、人間がゼロから持っているものではなく、いろんな本や映像や経験や学習などを経て、コツコツ積み重ねて拾い集めてゆくものだろう。

面白さの禁じ手

一方、反面教師にしたいなーと思った要素は次の通り。

一度使った(ウケた)ものを後でそのまま二度以上使う。

それしかないのか、と思われる。「バ〇の一つ覚え」と言いますか。

暴力的なもの、悪口、下ネタなどの過激なものは要注意。

たった数回(場合によっては1回)で、その人への強烈なイメージがつく。

インパクトというものは大事だ。それを狙って奇抜な格好や突飛なネタを持ち芸にしている芸人さんは非常に多い。下ネタなんかも、お笑いの1ジャンルであることは恐らくいなめない。

だが、こういった強烈なジャンルのものは、たぶん好みを明確に分断する。

ちなみに私は下ネタが嫌いなので、よほどうまくても、一発でその人へのそういう●●●●イメージは残る。

その一方で、万人には好かれなくともコアなファンはつくだろうから、罵倒やアンチにめげないタフメンタルと、その1点を突き詰める鋭利さや貫通力みたいなものがあれば大成功するかもしれない。

自信なさげ、恥ずかしそう。

どんなにくだらないと自覚のあることでも、全力の自信満々で提供しよう。笑いが取れるかわからなくてとてつもなく怖くても、堂々とやろう。

自信無げにオドオドやると、それだけですごくザンネンな印象が立ちこめる。逆に自信満々でやることで、不思議な面白さというものも生まれる。

堂々とやった時の観客の反応が、真の観客の反応だ。ビクビクやっていては、駄目なのが芸なのか態度なのかわからない。

なんかこれは細かい所だけど、すごく気になった部分なので敢えて記載した。

まとめ:〝面白さ〟へ繋がる要素

で、いろいろ挙げてみたけどさ、

ここからどう小説に応用させるのよ!?

……っていうのはある。

でも、何か一つの物事を豊かにしていくのに、そのものにとどまらず幅広い知識とか体験ってすごく有用だと思うのだよ。(自分をなだめた。)

以上、お笑いの要素をいくつか抽出して考え出してみたものを、下記にもう少し抽象化してまとめてみた。

※丸数字は「面白さの8項目」のもくじ番号と照合。

ある種の感情を提供する→①②③

エンターテイメントは、観客や読者の心を動かすもの。

を動かす、感情を揺さぶる。

それをどう提供するかが〝面白さ〟の鍵。

その点ではお笑いも創作も同じだ。

個性(強み・弱み)を見せる→④⑤

下記「漫画から学ぶ」の記事でも書いたけど、個性が強い作品は強い

もっとわかりやすく言えば、強みと弱み、好きなものと苦手なもの、などだ。

知識・経験・技術・テクニックの積み重ね→⑥⑦⑧その他

もちろん、生まれながらの才能の有無を否定はしない。だが、誰もが既に知っているような小さなこと(基礎練)の積み上げで、充分〝面白さ〟の神髄に近づいてゆけるのだ。

これで、創作におけるinterestingの方の〝面白さ〟のヒントにつながっていきはしないだろうか?

とか思ったが、結論(要素まとめ)に至った時点で、結局どのジャンルでも、大事なことって共通してるのだろうな、ってことがわかっただけだった。

……本当にただの道草だったな。(まぁ道草記事だから)

あとがきとご紹介(大喜利オタク)

毎回偉そうに書き連ねているが、本当にタダの素人の独り言なのでその点ご容赦いただきたい(テレビは無いし、お笑いもちょっと見てるだけ)。

なお、各界隈には研究者や考察者なる素晴らしい天才オタク達が多数いらっしゃる。お笑い界隈では特に、次の大先生をご紹介しておく。

赤嶺総理

先生ではなくてもはや首相だった(笑)。

大喜利オタクというのが最もわかりやすいご紹介表現か。大喜利というものを論理的に解説したりしてる、大喜利研究の第一人者(たぶん)。ホント、世の中にはありとあらゆる天才がたくさんいるんだなぁと、凡人の私は毎回衝撃と感銘を受けて震撼するのだよ。

あと、毎回同じことを言っているとは思うが、

好きなものは人それぞれ、すなわち、どこにツボるかは人それぞれである。

正解は無いし完璧も絶対も無い。あくまで一参考として楽しんでいただければ幸いである。

さて、大いに寄り道をしたところで、本業趣味もがんばろう!

最近、ナイチンゲールダンスの中野なかるてぃんさんが好きでザっと描いてみたんだけど、、、相変わらずザンネンな出来でごめん。(こういう感じの人、世界中に300万人くらいいそう)ハイテンションで描き始めたのに、描き上がったらなんか気分急降下した。もっといろんな芸人さんのイラスト描きまくってトップ画像にペタペタしたかったけど・・・。余力あったら描きます。

ナイチンゲールダンスYouTubeトップページ

上記に挙げた芸人さんに限らず、お笑い芸人さんは知性と才能ある方ばかりで、みなさん応援してます!

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