【面白日本語その1】「〝残念無念〟って、どっちが正しいの?」という弟ニャンの愚問について真面目に考えてみる。

アイキャッチ(面白日本語①) 日本語に関するあれこれ
筆者
筆者

日本語大好き!桃花です。

今回は、ずっと以前に弟から向けられた質問について考えてみたいと思います。

日本語は奥が深くて面白い。

まえがき(お断り)

だいーぶ昔に受けた質問だったが、小説書いてたきっかけで今更思い出したので、ネタとしてご提供。下記についてご理解いただいた上でお楽しみを。

  • 質問内容は実際の表現からは少しいじってます。
  • 解説を述べたものではないので、読み物の一つとして気軽に読んでください。
  • 質問者(弟)を含め、決して馬鹿にしているのではないため悪しからず。

本文

事の発端

純然たる日本人の癖に日本語音痴の弟ニャン(「ニャン」はあだ名)は、時折素っ頓狂な質問パンチを繰り出す。次の質問もその一つだ。

「〝残念無念〟って、どっちが正しいの?」

まぁ確かに(笑)。(いや「正しいか」と聞かれればどっちも正しくはあるけどね。)

当たり前に使っていると疑問は抱かないけど、こうして馬鹿真面目にツッコまれると「なるほど言われてみれば」と大人はハッとする。

質問の趣旨がわからないという方のために念のために意訳してみると、

質問内容意訳

「残念」とは、「念が残る●●」と書き、

「無念」とは、「念が無い●●」と書く。

念が、「残る」と「無い」の正反対の2つの熟語だが、実際には同様の意味として使っている。

どちらが正しいのか?(もしくは、何故なのか?)

ふーむ、猫の癖に鋭い。

ってかお前、ナンデナンデ期の幼稚園児かよ。

今時小学生だって「ググる」って言葉の意味を知ってるぞ?(多分)

……というわけでググってみました。

驚いた。ヤフー知恵袋に全く同じような質問があった。世界は狭し。日本列島などもっと狭かった。

ごめんなさい、ヤフー知恵袋の質問者様を愚弄するつもりはございません。

そしてこういう発想ってとても大事だと思っています。(ただし弟の日本語力皆無にはだいぶ呆れているよ?)

辞書を引こう

ではそれぞれの意味を、真面目に辞書で調べてみましょうか。

残念:①心残りのこと。未練のあること。

   ②くちおしいこと。無念。

(広辞苑)

無念:①[仏教用語]妄念の無いこと。無心であること。

   ②(正気を失って)口惜しく思うこと。不本意。残念。

(広辞苑)

ここからするに、残念②と無念②が類似の意味を成す模様。いずれも「口惜しい」という意味らしいが。

残念①は漢字の構成はよくわかる。念が残ってる→心残り、のイメージだ。そこから②の意味にも繋がってゆくのだろう。

無念②は? 正気(=念?)が無くなって、口惜しい?

ちなみに「口惜しい」とは、「朽ち惜し」を語源とする説がある、「悔しい」とほぼ同義の言葉。辞書には「残念だ、無念だ」という意味が載っている。(だからどっちよ?)

「無念」がわかりにくい

ではちょっとわかりにくい「無念」についてもっと考えてみよう。

不注意ドンマイ説

「無念」には、不注意、という意味がある。「入念=念を入れる」というのは「気をつけること、注意すること」であるが、その念が無いというのは、気をつけることを怠ってしまっているということ。(その行為には)念(=気持ち)さえ込められてなかった、ドンマイだよね、残念だよね、の脳内変換。念すら無いなんて残念でならない、というニュアンスにはならないだろうか?

まぁ逆の意味を無理くり一本にしようとしているから相当やっつけ感はあるけどね。自分で言っておきながら、「無念」の方はどうしてもしっくりこないわ(汗)。

どうでもいいけど脱線事故(話上の)

「無理くり」って北国諸国の方言だったと今知った。※諸説あり。

「残念無念」に似てない?(……似てない)

希望潰えた説

しっくり来るものとしてはこちら(ヤフー知恵袋)のページのベストアンサー(念=希望、無念=希望が残らない)が理論として納得ではあったが、私が調べたところでは、「念」に「希望」というプラスの意味までは探せなかった。goo辞書には「③かねての望み」があるからこれかな。

「残念無念」ニュアンスとして、「残念」<「無念」(「無念」の方がより強い)感じがあるが、それが正しいとすると、

「残念:念が残った」 <<< 「無念:念すら残らなかった」

っていう組み立てが合うように思う。

でもやっぱ結局、「だから念って何よ?」「真逆の意味なの?」って疑問は残ってしまうか……。

語呂合わせ強調説

ちなみに、「残念」を強調するつもりで後ろに「無念」をつけたのが、後々両者同じ意味になった、という考えもあったが、強調するんなら反意語っぽい言葉なんてくっつけないと私は思うのだが、どうなんだろう? (しかもその説を採ると「無念」の意味が後から生じたことになる。)

反意語同士なら「竜頭蛇尾」とかさ、そのまま両方の意味が残っていそうだし(「強弱」の構成)、
強める語同士なら「四苦八苦」みたいなさ、そもそも後者がもっと強くするイメージがある。

「竜頭蛇尾」の意味

最初の勢いは竜のように素晴らしいが、最後は蛇の尾のようにつまらないこと。(筆者まとめ)

[類語]頭でっかち尻すぼみ

いっそやるんだったら「残念激念」とかにしたい。「残念激念」なんてさ、口惜しいニュアンスひっくり返して激情に駆られてるよなー。絶対成仏出来なさそう。

あるいは「残念執念」とかね……(こっちの方が自然な気はする)。

最後に

それはさておき。

まぁ結論、「残念」と「無念」は同じ意味だ。深く考えるな。

「なんでお日様は照ってるの?」って、

照ってるからだ、それ以外の何事でもない。

聞くだけ聞いといて解決前に質問内容を忘れてしまうような猫知能(=弟ニャン)は、世の不思議に疑問を持つな。以上。

筆者
筆者

弟へ向けて書いた感じの内容になってるので結構きつめの口調になってますが、
ネタ的に書いたもので、弟のこともそんなに見下してる訳ではありません。
むしろ私では気づかない発想に気づけて新鮮です(笑)

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